すきなもの 「落語」



世はお笑いブーム。


気が重くなるような事件やあいかわらずの景気動向

笑ってないとやってやれないというところでしょうか。


少し前まではお笑いの世界もタテ社会の徒弟制度でしたが

養成所出身の師匠をもたない人たちが中心となっているようです。

人気者だったとしても長続きするとはかぎりません。

人を笑わせることは一番難しいことなので

星のように現れるライバル達から生き残るためには

そうとうな運と努力が必要かもしれません。

まさしく戦国時代ですね。


たまたま本屋でみつけた「落語の名作100」を読んでいるのですが

落語のあらすじが書かれていてこれがなかなか面白い。

それぞれの噺に十一代目 金原亭馬生師匠が

簡単な解説をされています。


落語は他のお笑いと違ってストーリーは決まっていて(新作落語を除く)

演者の方のさじ加減で同じ噺でも味わいが変わってきます。


私の好きな上方落語の噺で「手水廻し(ちょうずまわし)」というのがあるのですが

この噺は何度聞いても笑ってしまいます。


簡単なあらすじを言いますと

上方の宿に泊まった江戸から来た旅人から

「ちょうずをまわしておくれ」と女中さんが頼まれます。

「手水(ちょうず)」を洗面道具いうことを知らない女中さん。

宿の人に相談するが意味がわからない。

食べ物だろうか? などと考えあぐねたあげく

もの知りの和尚さんに大急ぎで意味を聞きに行きます。

和尚さんも初めて聞いた言葉。

もの知りでしられている手前、知らないとはプライドが許さない。

「ちょうずというのは長い頭と書いてちょうずとよむのじゃ」と

でまかせを言ってしまいます。

それを聞いた宿の人、街で一番の長い顔の人を探して

急いでお客の前へと連れてきます。

なかなか「手水(ちょうず)」が廻ってこないのでイライラするお客。

やっと「用意ができました」という声とともに長い頭の人が現れます。

「はやく廻しとくれ」とお客さん。

長い頭をまわしはじめます。

「何をやってるんです。はやく廻してくれ」

「もっとでっか?」とよりいっそう早く長い頭をまわす・・・とった噺。

こうして書いていてもやっぱり面白い。